「どうなる兵庫の医療・介護」講演&シンポ
「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」は7月25日、
神戸市で「どうなる兵庫の医療・介護」をテーマに
「講演&シンポジウム」を開き、医療・介護関係者をはじめ、
加入団体や地域の会などから130人以上が参加しました。
安倍内閣は、医療費と介護費を抑制するために、
病院の統廃合を含めて「効率的な」医療提供体制をつくる責任を県に押しつけてきています。
国民健康保険が県単位にされるのも、その一環です。
高齢の入院患者はすぐに退院させられ、あとは介護施設まかせ、
そして安上がりの介護費でケアをさせようというものです。
そうした中、兵庫県はどのような地域医療ビジョンをつくろうとしているのか
――医療・介護の現場からの報告とあわせて、
兵庫県の医療と介護を考えるシンポジウムとして開催されました。
当日は、藤末衛全日本民医連会長の講演の後、
石川康宏代表幹事のコーディネーターでシンポジウムが進められました。
講演「安倍内閣のめざす医療・介護総合ケア」
全日本民医連 藤末衛会長
安倍政権の「骨太の方針」2015年は、
小泉構造改革の社会保障費の自然増抑制、年間2200億円をも上回る、
3千億円から5千億円もの削減計画だ。
ここに至るまでに、12年の「社会保障制度改革推進法」、
14年の「医療会議総合確保法」、15年の「医療改革関連法」がある。
目的は、社会保障への税金支出減と医療・介護分野を経済成長のエンジンにすること。
国民皆保険制度の変質・解体で、国民は、“医療追い出し”“介護とりあげ”という影響を受ける。
社会保障の理念を「自立・自助」に変質させる。
医療の「川上」は、効率化一辺倒の「病床改革」。
25年には、必要病床200万床を内閣府は120万床に減らす計画だ。
「川下」は地域包括ケア。
本来、介護保険がいっそう重視されなければならないが、
介護にお金がかかりすぎるからと、介護認定しない、
認定しても中身を安上がりにすることをねらっている。
要支援1・2につづき、安倍政権は、介護1・2もはずし、
介護3以上のみの適用にしようとしている。
利用者負担は、75歳以上の高齢者865万人の保険料が2倍から10倍と大幅引き上げ。
入院時の食事代の自己負担は2倍になる。
高額療養費限度額の引き上げ、貯金や資産のある人からのとりたて強化が決まっている。
その上、医師の医療行為の看護師への代行などを進めようとしている。
これら「改革」の責任を、国から都道府県に移行し、
医療費最低県を基準に目標をもたせ、地域の責任で減らせと
国はペナルティーで実施を迫る。
医療・介護を経済成長のエンジンにするのが、「患者申し出療養制度」という混合診療の新しい制度。
いま一つは、国家戦略特区でイノベーション、外貨かせぎの医療の促進。
神戸の医療産業都市、話題の生体肝移植などが実例だ。
医療不信の増大と、アメリカのようにお金によって
治療内容が変わることを当然視する国民意識の醸成、医師のモラルハザードも蔓延しかねない。
医療・介護の抱えている問題点を県や市に丸投げしたことが政権の弱点となる。
逆に言えば、良いことをやろうという県や自治体があれば、やれる可能性がある。
まともな医療・介護をかかげた知事や市長を誕生させる展望も生まれる。
政治をよくする、やりがいのある時代がやってきた。